1.宅地建物取引士とは
「宅地建物取引士」とは、不動産取引の専門家として、不動産を取引しようとしている人に対し、その物件について重要なことを説明する人のこと。法律では、一般の人達を保護し、不動産取引を円滑にするため、不動産会社に一定数以上の専任の取引士が必要と規定しています。
取引士は、不動産・建設・金融など不動産取引に関係する業界にニーズが高く、社会的にも価値ある資格とされています。
2.宅地建物取引士なるには
取引士になるためには、まずは宅建試験に合格する必要があります。合格後、実務経験が2年未満の方は登録実務講習を受講し、都道府県知事に取引士資格を登録。さらに法定講習を受講した後、都道府県知事から取引士証の交付を受けます。これでようやく「取引士」としての仕事ができるようになります。
■宅地建物取引士になるまでの道のり
宅建試験に合格しても、すぐに取引士資格を登録する義務はありません。合格という事実は一生有効となりますので、将来、資格が必要になったとき、一定の手続きで、登録、取引士証の交付を申請してください。
3.宅建試験の実施要綱
試験の実施要綱は以下のとおりです。
試験の日程 | 毎年10月第3週の日曜日に実施(年1回) |
申込書の配布 | 毎年7月上旬より申込締切日まで配布 |
受験申込締切 | 毎年7月下旬頃 |
試験時間 | 2時間(午後1時から3時) |
試験方法 | 50問の四肢択一問題(記述問題はなし)問題は全国共通 |
受験資格 | なし(誰でも受験は可能) (国籍・学歴等の制限はありません。) |
実施機関 | 一般財団法人 不動産適正取引推進機構試験部 〒105-0001 東京都港区虎ノ門3-8-21第33森ビル3F 電話 03-3435-8181 ホームページ:http://www.retio.or.jp/ |
■受験までの流れ
4.受験者数・合格率
宅建試験は、国家試験の中でも毎年20万人以上の人が受験申込みをし、平成30年度は26.5万人が受験申込みをした人気の資格です。受験者数、合格者数、合格率等は以下のとおりです。
平成29年度 | 平成30年度 | 令和元年度 | 令和2年度 | 令和3年度 | |
申込者数 | 258,511人 | 265,444人 | 276,019人 | 259,284人 | 296,518人 |
受験者数 | 209,354人 | 213,993人 | 220,797人 | 204,250人 | 234,714人 |
合格者数 | 32,644人 | 33,360人 | 37,481人 | 34,338人 | 41,471人 |
合格率 | 15.6% | 15.6% | 17.0% | 16.8% | 17.7% |
合格ライン(10月実施) | 35/50問 | 37/50問 | 35/50問 | 38/50問 | 34/50問 |
合格ライン(12月実施) ※一部地域で実施 |
36/50問 | 34/50問 |
過去5年分の試験結果の概要を見ると、合格者数が3万人から4万人へと増加しています。申込者数、受験者数ともに増加しており、人気の資格といえますが、合格率は15%から18%程度であることが分かります。つまり、宅建試験は、数字の上では全受験者の6人に1人程度しか合格できない、難しい国家試験のひとつです。多くの人が真剣に取り組んでいますから、甘い考えではいけませんが、無駄なく、効率的にしっかりと勉強をすれば、必ず合格できる試験ですから、合格率だけを見て不安になる必要はありません。
5.試験科目
試験科目は、以下の表のようになっています。
本試験出題順の科目(平成26年度)
科目 | 主な内容 | 出題順番 | 出題数 | |
1 | 権利関係 | 民法、不動産登記法 など | 問1~問14 | 14問 |
2 | 法令上の制限 | 都市計画法、建築基準法 など | 問15~問22 | 8問 |
3 | 税 | 不動産取得税、譲渡所得税 など | 問23~問24 | 2問 |
4 | 価格の評定 | 地価公示、不動産鑑定評価 | 問25 | 1問 |
5 | 宅地建物取引業法 | 宅建業法全般 | 問26~問45 | 20問 |
6 | 需給、取引の実務 | 不動産の統計、住宅金融公庫 など | 問46~問48 | 3問 |
7 | 土地・建物 | 土地・建物について | 問49~問50 | 2問 |
出題科目のうち、「権利関係」(14問)、「法令上の制限」(8問)、及び「宅建業法」(20問)は、全体の84%を占めることから主要三科目と呼ばれ、宅建試験に合格するためには、特に十分な勉強が必要とされている科目です。
●登録講習修了者の試験一部免除の制度
宅建業に従事し、登録講習を修了した人には、問46から問50までの5問を、受験科目から免除する制度があります。